用の美

使うモノという伝統

天保から現在に至るまで…

長い歴史をもつ窯元が鳥取市河原町にあります。

牛ノ戸焼

緑の深い山々に囲まれ田園風景を見渡せる小高い場所にある工房は自然と調和しながら土と共に生きると言う言葉がしっくりときます。

天保年間因幡国(鳥取県)に開窯され、その後天保8年に石州(島根県)の方に継承されます。

二代目三代目と徳利や水瓶、すり鉢など日用陶器を製造していましたが昭和初期の不安定な時代に不景気のあおりを受け苦しい状況であったようです。

四代目当主が民藝の父と称される吉田璋也と出会い、柳宗悦、バーナード・リーチ、河井寛次郎、濱田庄司らの激励、指導を受け新作民藝の制作に取り組みます。

牛ノ戸窯の代表作と言われる梅模様と緑と黒を掛け合わせたデザインはその頃に新作として加わったようです。

「特に先先代やそれ以前の当主は本当に大変な苦労をして切り盛りしてきた」

と朗らかで時には神妙に牛ノ戸焼のヒストリーを話して下さった現六代目当主の小林孝男さん。

県外のご出身ですが、ご縁あってこの土地に来られ、長い歴史の窯を継承していく職人としての意志と覚悟が明朗な言動の中でもしっかり伝わってきます。

「歴代、工芸作品ではなく、日用品を作ってきたんだよ」

という印象的な言葉通り、料理が映える色調、手に持つとしっくりくるフォルム、丈夫な安定感、リーズナブルな価格…

地元の良質な土を自ら精製し陶土を作るところから始まり、釉薬も市販釉ではなく全てが手造りでなされています。

まさに”使うモノ”を作ることが継承されて伝統となっていること、人の手により生まれたものが人の手で使い込むことにより美しさが増していくことに尊ささえ感じてしまいます。

古さは否めないところですが、美しく整えられた工房や登り窯は、本来であれば重い緊張感を持って入らせていただく、窯元の聖域です。

なのになぜかホッとするような居心地の良さや少々のワクワク感を持ってしまったのは、身近なモノを作っているという心の距離の近さと安心感だったのかもしれません。

代表的なデザインの五寸茶碗を購入しました。小ぶりな丼として盛り付け料理が楽しい!

温かい料理を入れても器自体は極端に熱くなったりしないので両手で包み込むように持ちたくなります。

皿洗いの後の水はけが良くて衛生的です。

使って愛でる器と共にする食卓は私の日常に小さな華を咲かせてくれています。

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