用の美

大地から受け取り未来に託す

鳥取県鳥取市河原町西郷地区

「工房このか」を構える 木地師の藤本かおりさんを訪ねたのは、緑と時折吹く山風が心地よい夏の日でした。

木地とは年輪や木材繊維の粗密などによる木材の地質のことで

藤本さんは、その木目を活かして器やお盆などを制作する職人さんです。

古い民家を改修し設えた工房は、木の香りと周囲の樹葉から流れる緑の香りが心地よい佇まいでした。

藤本さんは大学で建築を学んだ後、岐阜県高山の技能学校で木工の基礎を学び、鳥取の伝統工芸士である木地師と伝統京蒔絵師の師匠のもとで木地と漆芸の修業を積まれ、鳥取のこの地に工房を構えられました。

まさに木と向き合い、木と思いを共有している日々なのだと、穏やかな笑顔の中にも技を継承している凛とした姿勢が伝わってきます。

藤本さんは木工轆轤で木地を挽くことから塗りの工程、つまり粗々しい自然木から可愛らしいお椀に仕上がるまでの工程を一貫して、おひとりで行っています。

藤本さんの作品は各工程で木としっかり会話しながら仕上げていく、素材へのリスペクトが温かく伝わる美しさに満ちていますね。

樹木は長い年月をかけて大地が育んだ伸暢の申し子のように思います。

生まれ育つ中で樹木にまったく触れ合うことがなかった人はまず存在しないことでしょう。

大地から受け取った粗木を建材や道具に仕立て、次を担う人に託していく。

託された人は、美しく使って育み、それを未来を担う人に託していく。

私はそんな一連の流れを感じ取りながら暮らすことが次世代へと継承できる愛情だと思っています。

樹木の魅力や大切さを広く伝えたいと「木育」に取り組んでいる藤本さんの作品には無言で継承されている愛をたくさん感じとれますね。

職人さんを介して大地と繋がっている。

この美しい木目は、明るい未来に引き継いでいくバトンのように感じるのは私だけでしょうか。

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