まち*ごと

オ・ラパン・アジルに見る夢

「絵画が名付け親」

クリスマスになると遠く離れたパリのモンマルトルにある小さな老舗シャンソニエに想いを馳せてしまいます。

オ・ラパン・アジル

きっかけは一枚の絵画でした。

風刺画家 アンドレ・ジルの描いた看板から、ラパン・アジル(跳ねウサギ)の店名がついたという不思議なプロセスを持っています。

元々は宿屋として建てられたそうなのですが、19世紀中頃からキャバレーとして知られるようになりました。

フランスではキャバレーという分類に入るようなのですが、有名なムーランルージュのように華やかなショーを中心としたキャバレーでは無く「歌や演奏を楽しみながら食事のできる店」として同じカテゴリーに入るようです。

ラパンアジルは食事を提供しません。酒と歌を楽しめるお店と言うことになるとシャンソニエのイメージが強く、日本で言うところの歌声酒場・・・ってところでしょうか。

「ボヘミアン画家のたまり場

1900年代にジルと言う男性が経営者になりました。

店の軒先でロバを飼い来るもの拒まずの天真爛漫なお店運営に様々なお客が集まってきます。

当時モンマルトルは、様々な国から若い画家や詩人たちが集まり住居兼アトリエを構え、活力漲るまちでした。

彼らはラパンアジルに入り浸り、店内は彼らが描いた絵で埋め尽くされています。

常連客はゴッホ、ルノワール、パブロ・ピカソ、マックス・ジャコブ、ジョルジュ・ブラック、トゥールーズ=ロートレック、ギヨーム・アポリネール、アメデオ・モディリアーニ、モーリス・ユトリロ、ポール・フォール・・・などなど

特にユトリロは、ラパンアジルを題材とした絵画をいくつも描いており、思い入れも深かったようです。

この面々が若き頃、血気盛んにアート談議が交わされるシャンソニエ・・・想像するととてもワクワクする反面・・・若干の面倒くささも漂いますね。

ジルも亡くなり1913年頃にラパンアジルは取り壊しの危機に陥ります。

ですが、それをモンマルトルのアーティストが救ったのです。

有名なキャバレー「ル・シャ・ノワール(黒猫)」の歌手でロートレックのポスターで知られるアリスティード・ブリュアンが買い取り、ジルの息子ポールに引き渡しました。

ジルの経営時代に常連であった、ボヘミアン画家たちはモンパルナスに移住しており、ポールは夜の歌を楽しむ経営へと舵を切り、無秩序だったお店の雰囲気は改善され、たくさんの歌手がラパンアジルから誕生しました。

「人を育てる場所・人が育てる場所」

私は鳥取のまちにラパンアジルがあれば・・・・との思いを込めて、実在しない「冬のラパンアジルの中庭」なるものを妄想して、ドールハウスに仕立ててます。

ジルの経営時代は確かに無秩序で場末感が漂っていたかもしれません。

エネルギーを持て余し、居場所を求めてたどり着いた若き画家たちがお店で発したパワーが、時代をいくつも超えても尚、お店がこの地に存在し続けていることに無関係であるはずは無いと思っています。

ラパンアジルが名も無きアーティストやシンガーの感性を育て、有名になった人たちの名声がラパンアジルの価値を高めている。

そんな相互関係が成り立っている人と場所がたくさん存在するまちってどんなに素敵でしょうか。

どんなに小さくて狭くても、集まる人のスピリッツの高さやセンスの良さで、かけがえのない場所に変化していく!

ラパンアジルに夢で終わらせてはいけない夢を投影する聖なる夜です。

merrymerry Christmas ☆

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