用の美

鳥取のガーゴイル

「ここでしか見られないモノ」

以前、空き家となっている元陶器屋さんのビルを活用したイベントに参加しました。

上層階の窓から顔を出した時、目の前に大迫力で現れた信楽焼巨大狸に心を奪われました。

夕日に照らされたその姿は、以前パリのノートルダム大聖堂で観た、壁にに鎮座するガーゴイルたちと、一瞬完全にオーバーラップしたからです。

用と観を合わせた必需品

ガーゴイルは怪物や珍獣の姿をした守り神のイメージがありますね。

実は元々は雨どいとして作られたモノだったのです。

原義は「のど」を意味しており、英語で言うところの”gargle〔うがいをする〕”に由来しています。

ただ、普通の雨どいをガーゴイルとは言いません。

建築物の外観を損なわない芸術性のあるものが、ガーゴイルと分類されています。

必需品から装飾品へ

13~14世紀に建てられていたゴシック形式の建物は、屋根が急勾配のモノが多く、屋根つたいに激しく流れ落ちる雨水から、しっくい壁を守るために、ガーゴイルが必需品だったのです。

現在は歴史的な建物の殆どに、現代の建材や建築様式にて改修がなされているために、雨どいとして機能しているガーゴイルは少なくなっています。

残念で心が痛むのですが、火事で焼失したパリのノートルダム大聖堂に多数鎮座している彫刻はガーゴイルとして有名でした。

しかし、その全てが雨どいの機能を持ち合わせているかどうかは、はっきりわかりません。

ノートラダム大聖堂のガーゴイルと言えば、冒頭の怪物が代名詞のように言われていますが、ガーゴイルの用を足しておらず、「グロテスク」と呼ばれています。

ただ、実際に雨水を吐き出している現実的な機能は成していないものの、大聖堂から罪を外に吐き出しているという状況からガーゴイルであるとの指摘をする芸術家もいます。

「象徴だって用の美」

「用の美」について学習中の私でありますが

”使って愛でて育んでいく道具”という概念を、少し広く考えていくと、そこの場所や人を、即座に認識できるような調度品や装飾品も「用の美」のカテゴリーに入ってくるのではないかと思っています。

「大きな招き猫が店頭にいる呉服屋」

「金色の牛が入口に立ってるレストラン」

「コーラルピンクの複合ビル」

etc・・・・

その象徴がポイントとしていくつも存在し、まちを歩く際のランドマークになれば、マップで番地を調べて訪ねるよりも、印象として心地よく残るのではないかと考えます。

ただし、象徴品は形が美しいモノでなければ「用の美」の機能は果たせません。

「日常では見られない景色」

この鳥取の街並みは、信楽焼の狸が毎日見下ろしている街の景色です。

この景色は、ビルを使用しない限り狸のみが見つめる景色であり続けます。

鳥取駅前の「信楽焼狸が鎮座するビル」と言えば大部分の人が認知していると考えると

鳥取のガーゴイル

「用の美」の風格を持ち合わせている堂々たる象徴品であります。

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