まち*ごと

小さな写真美術館 池本喜巳「三尾の少年」

映えるまち鳥取

鳥取はとても写真映えするまちです。

地味な田舎まちのどこが?・・・・ですよね。

”映え”と言うとInstagramなどのキャッチーで派手な画像を想像される方は多いと思います。

写真の醍醐味や面白さは、もっともっと深いところにあり、SNSでもてはやされる画像は”映え”の入り口部分でしかありません。

山陰の空は曇天が多く余計な光が入ってくることが少なくて後のレタッチが楽なこともあります。

そして、何かメッセージ性を持たせた撮影の際に題材となる被写体が豊富に存在するまちなのです。

平成28年鳥取のまちの繁華街に写真文化の発信拠点が誕生しました。

池本喜巳小さな写真美術館

次世代へ繋げる思い

池本喜巳さんは大変著名な写真家です。

1967年に写真学校を卒業されて以来、現場にてたくさんのスキルを積まれ、写真という概念にとらわれずアート性の高い写真の数々は国内外で高い評価を受け、そして今も尚写真家としての活動に邁進されておられます。

山陰の風景 まちや商店 人の暮らし

撮影に心を砕き膨大な時間を費やして、この場に存在する写真の数々・・・

本来であれば、易々と観ることが憚られる作品たちなのでしょう。

それをカジュアルに観覧できる場所を私設美術館という形で提供して下さっていることに、写真家としての心意気と次世代に伝えたい思いの深さを感じ敬服しかありません。

私は心がトゲトゲしくなったりギスギスしてきた時に、池本さんの写真集から必ず開き見る、一枚の写真があります。

いつでも一緒にいた笑顔

「眼下には岩にへばりつくように学校があり、校庭では少年たちがソフトボールに興じていた。船着き場に車を停めて校庭へ歩いていき、その少年たちにカメラを向けると、2人の少年はとてもはずかしそうにはにかんで笑いながら立っていた。近づいてシャッターを1枚だけ切ると、少年たちはアッという間に自転車置き場へと走り去ってしまった。」

写真集「そでふれあうも」から抜粋しました。

海岸沿いの県道260号線から余部にむかっている途中に立ち寄った三尾(みお)が撮影場所とのことです。

当時昭和49年。

一般家庭の子供たちが写真を撮られるというコトは華やかで特別な行為だったのではないでしょうか。

シャッター1枚で逃げてしまったのは拒否では無く「いやぁ~~もうもう!照れますがな照れますがな!1枚で勘弁して下さいよ~~!」という、奥ゆかしさとはにかみが心から溢れてしまったからでしょう。

たぶん・・・カメラを構えた池本さんも同じ笑顔で少年たちに近づいたのだろうな~と想像しています。

私は、この打算の無い笑顔に何度も救われました。

思い起こせば日々の諸々に忙殺されて忘れてしまっているけど、この笑顔の人は私の周りにたくさん存在しているのです。

自分が心を狭くして見ないようにしていただけのコトだったんです。

狭い世界を捉える視野の広さ

写真館でしかお目にかかったことのないような大きなフィルムカメラ。

こちらを携えて、池本さんはまちの古い商店を回り撮影を行ってきました。不信感を露わにし、罵倒されたり、お茶をかけられたりと・・・撮影は困難を極めたと解説にあります。

デジタルカメラとは違い心を込めて一発勝負!

フィルムカメラで美しく大きな写真に仕上げるためには、このような特別なカメラが必要だったとのことです。

時代遅れのカメラで古臭い店やまちの様子を撮ったノスタルジーを突っつく写真

そんな風に評価する方もいらっしゃるかもしれません。

間違っています。この写真は現在進行形の写真です。

過去が積み上げた現実をしっかり読み解かなければ、私たちが生きている今を広い視野と思考でもって、見つめることが出来るはずもありません。

少なくとも、その努力をしていかなければ輝かしい未来など語るだけの空しい夢で終わってしまうでしょう。

写真は過去から未来を見つめることのできる唯一無二の文化

小さな写真美術館には今を心穏やかに生きるためのヒントがたくさん隠れているような気がしています。

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コメント

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  1. 2020年 11月 14日
    トラックバック:does female dapoxetine work
  2. 2020年 11月 22日
    トラックバック:proper use of ivermectin
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