内外を同時に見れる二つの顔
ピーテル・パウル・ルーベンス「ヤヌス神殿」
アニメ「フランダースの犬」でネロとパトラッシュが、なんとかたどり着いた教会で最期を迎えた時に観たのがルーベンスの絵画でした。
子供向けアニメなので描写は美しかったのですが、聖なる夜に教会で微笑を浮かべる小太りの天使と女神の絵を観ながら、飢えた男の子と犬が凍死するという・・・なんともシュールな・・・現実とは生々しいものです。
ローマ神話の出入り口と扉の守護神ヤヌス。
前後に反対向きの二つの顔を持つのが特徴の双面神で、物事の内面と外面を一度に見ることのできる出入口と扉を司る神です。
「ヤヌス神殿」は、そのヤヌスを掲げたローマに実在する神殿をルーベンスが描いた絵画です。
この神殿の扉は戦時に開けられ平時には閉められるという大切な意味が込められています。
何かと好戦的なローマ人へ信仰心を通じて平和を促すために第2代王によって神殿が建築されましたが、思い空しく・・・
王様3代目4代目・・・・歴代、ほぼほぼ扉は開きっぱなしだったようですね。
外から武器を持ったおぞましい者が入ってこようとしています。
向かって右側、扉を閉めようとしている天使と女神に射し込む明るい光
向かって左側、扉を開けようとしている悪魔と人の後方には無残な光景
画家であると同時に人文主義学者であったルーベンスが描く”人物の表情”が人が抱える闇の深さを余すことなく表現しています。
真ん中にいる武器を持ったおぞましい者 さあ~どうする?
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