モーニングスター以外は何もない村里
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「星月夜」
ゴッホの代表作の一つといわれる有名なこの絵画なのですが、アルルの精神病院入院中に描かれた作品です。
激しく渦巻く夜空の下に控えめなまちなみ。手前には燃え立つような天高くそびえる糸杉。
精神を患い心のコントロールが効かなくなった病的な絵だと評論されることもあるようですが、
私には様々なモノに抗い苦悩し続けたゴッホが、全て現状として受け入れ「穏やかな死」を受け入れることで安らかに残りの人生を生きていくことへの決意表明のように思えます。
この絵画は病院の窓から見える景色とされていますが、ゴッホ本人が弟テオに宛てた手紙の中に「病院の窓からモーニングスター以外は何もない村里」と書いているいるように、病院の窓から見えるのは、まったく違った景色だったようです。
この絵画は、病院から見える景色とゴッホの故郷の景色がコラージュされているという見方が有力な説です。
手前に描かれた糸杉は、天と地を結ぶ象徴として墓木に用いられるとのこと。
「死に向かう・・・」という後ろ向きではあるにせよ、これからを見つめる希望の絵画と解釈しても違和感は感じないように思います。
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