用の美

柳宗理プロダクトデザイン 藤田嗣治「台所の少女と猫」

戦後日本を代表するプロダクトデザイナー

島根県立美術館より開催中の「柳宗理デザイン美との対話」にて、戦後日本の美しきモノつくりの世界に没頭してきました。

スプーンやフォークなどの小さな日用品から企画展のポスター、大型公共建造物のデザインまで

単なる優れたプロダクトデザインの紹介ではなくモノを通して戦後日本の歴史を見聞き考慮する圧巻の展示でした。

柳宗理は民藝運動の創始者の父にクラシックアルト歌手を母に持つ家庭に育っています。

物質的には裕福ではなかったであろう時代でも、本質的に美しく優れたモノに囲まれた幼少期だったのではないかと思います。

展示の作品は新品の日用品から使いこなされた古いモノ、大型建造物の模型などさまざまでしたが、

美しいデザインのモノの中でも一層魅力的に見ていたものは、使用者のクセが身についたような道具や野外で雨風にさらされ錆や汚れが目立つベンチなどの展示物です。

そして私の心の中は、いつか手元における日が来れば・・・と恋焦がれる大好きな絵画へと誘われて行ったのでした。

愛おしいモノたち

藤田嗣治「台所の少女と猫」

あの天才ピカソを唸らせた乳白色肌の少女が台所に座っている絵画です。

赤い頭巾と靴下の差し色が印象的で無防備な猫たちが可愛らしいですね。

レオナール藤田は自分が愛おしいと思ったモノを率直に描き、たくさんの作品に仕上げています。

また、料理はもちろんミシンを使って服を作り、家具や日用品を自作したりするクラフターでもありました。

キッチンを描いた作品には必ず使いこなされた台所道具の数々が登場します。

私は藤田の描く台所道具類のリアルに惹かれます。

食べ物と金属の交じり合ったような香りされ漂ってきそう。

これは実際に道具を愛でながら使いこなしている者だからこそ描けるリアルな魅力なのではないでしょうか。

単なる素材の提供者

道具として提供されたモノは日用品も巨大なビルや橋などの建造物も使われてこそモノの価値が上がるのだと理解できました。

となると・・・

創造物というモノを長い長い視点で見てみると、それを創り上げた建築家やデザイナーは一つの素材を提供したに過ぎないような気がしています。

その創造物を丹念に仕上げていくのは、それを使い続けていくヒトなのではないでしょうか。

大切に愛でて次世代に繋げていくか、朽ちさせて壊し時代のサイクルに乗せていくかは使うヒト次第。

愛着を持って使い続けたい!

日常の幸せとは、そういうモノとの過ごす日々の中にこそあるのではないか・・・

そんなことをふと考えています。

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