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鳥取民藝 用と観の梅紋 それぞれの「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」

梅五郎さんの梅紋

鳥取市河原町にある牛ノ戸焼は歴史の深い窯元です。

黒と緑を半々に振り分けた釉薬と梅の柄は素朴な印象ながらモダンで美しいデザインですね。

水はけも良くヘビーな普段使いにもビクともしない丈夫さ。

何より、この器が食卓にあるとスーパーのお寿司もコンビニ弁当も華やかさが加わります。

特に梅柄の由来が、初代窯元の小林梅五郎さんの名前にちなんで代々継承されている、トレードマークの梅紋であることに恭敬と愛らしさを感じずにいられません。

私は、この梅紋をはじめとする伝統的なデザインの絵柄にインスピレーションを受け

梨と皿をモチーフにしたミニチュアアート作品の制作に取り掛かりました。

深いベージュと伝統的な絵柄は、直径2.5センチのミニチュア皿でありながらも、重厚さは損なっていないと自画自賛しています。

使用するために作られた梅紋
観賞するために作られた梅紋

双方を深く探求していくと、ある二つの絵画にたどり着きました。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」1877年

パブロ・ピカソ「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」1900年

ルノワールとピカソ

2人の巨匠がパリのモンマルトルに存在したダンスホールを描いた絵画なのですが

画家それぞれの画風の違いや20年以上のラグがあり、社会背景の変化もあったであろうけれど、同じ場所を描いた作品にこれ程に全く違う印象のものが仕上がるのかと興味深く見ています。

それは画家それぞれが表現者として追及したコト柄に明確な差異があったのではないかと考えています。

ルノワールが追求したのは”光”

ダンスホールの光
人々が求めた心の光

ピカソが追求したのは”闇”

仄暗さに影をひそめる闇
人の欲望の中にある闇

ルノワールの絵画に描かれているのは流行りのファッションに身を包みダンスと粋な会話に興じる人々です。

かたやピカソが描いているのは、商売に余念のない女性たちと、彼女たちを値踏みする男性たち。
自分の画風を確立する前の若き頃のピカソの作品だけに、打算の無いリアルさが伝わってきます。

同じ場所を見つめながらも追及する事柄の違いで視点も大きく変わる

個々それぞれの好みで評価は分かれるでしょうが、双方共に美しい絵画であることは間違いの無いことだと思います。

 

用と観の梅紋

使用を目的としたモノつくりと観賞を目的としたモノつくり

優れたデザインであることは双方の根底として、追求すべきコトは絶対に妥協が許されないコト柄であることが明確です。

ヒトに用いられるモノつくりには、ヒトが気持ちよく使用する為のストイックなまでのクラフトマンシップが求められます。

観賞を目的としたモノつくりには、ヒトを魅了することに集中しアーティストとして感性を注ぎ込むこと。そこに妥協という文字が入り込む隙はありません。

梅紋は用の美と観の美、両方を持ち合わせているモチーフです。

とても身近でいて次世代へ継承されていくモノつくり

カテゴリーは違えど、作り手としてのこれからの姿勢を示してくれている先人からの伝言

時代の変化で形を変えて行く文化があっても寛容に受け入れられるのは揺るぎない基盤があるからこそなのですね。

そんなことを考えながら小さな梅紋を描いている時、説明のし難い安心感と大切にしたい文化があることへの幸せを密かにじっくりかみしめる私がいます。

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