用の美

松江 袖師窯 コロー「イタリア風景 日の出」

100年の風格

ここ近年、道路事情が益々良くなり、鳥取市から松江市まで車で2時間30分で到着出来るようになりました。

行きたい場所に行って、見たいものを見れるというのは本当に幸せなコトです。

1877年に開窯しておよそ115年

袖師窯は宍道湖の湖畔に長い歴史と共に静かに佇んでいました。

1893年二代目尾野岩次郎氏が、小泉八雲の美しい夕日を称え、船の交通の便が良い、袖師浦に窯場を移し登り窯を築きました。

三代目尾野敏郎氏が、島根に視察に訪れた柳宗悦氏の民藝運動に共感し、

河井寛次郎氏、バーナード・リーチ氏など、各師の指導を受け

現在も出雲に伝承された技法を基礎とし地元の土と原料を使い、日用品としての焼き物を作っています。

後方に高層マンションと道路の陸橋・・・

時代の流れと共に窯場を移した100年前と現在では、周囲の環境もまったく違うモノとなっていることでしょう。

威風堂々という言葉がしっくり当てはまる静かな時間の流れに、ホッと安らぐ気持ちを感じました。

そして故郷から遠く離れた地で、安らぎとインスピレーションを受け取った画家の、一枚の絵画を思い出すのでした。

理想は太陽で輝く風景にあった

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー「イタリア風景 日の出」

コローはフランス出身の画家ですが、生涯の大半をイタリアで過ごしています。

芸術の都パリ

画家や画商たちが集うサロンやアカデミーの格式は、才能あふれるアーティストたちを束縛という形で抑制し続けていたのかもしれません。

イタリアを訪れたコローは、開放感から自身の理想を見出し、さらに才能を開花成熟させていくのでした。

絵画の左側は穏やかに湖に立つ牛と背景は近代的都市の風景
絵画の右側は古代ローマ遺跡の前、明るい光の中で歌と踊りを楽しむ人
それを分つように真ん中に巨木が立っています。

古代と現代の文化が巨木と人々の歌の調和によって共存するユートピア的な風景

コローの理想が余すことなく盛り込まれた、うっとりする美しい絵画です。

素朴な中に感じる色香

袖師窯の器は素朴な様相の中に説明のし難い色っぽさを感じます。

老若男女 誰が持っていても、しっくりときそうな不思議な感覚。

暮らしの営みに欠かせない日用品としての焼き物であること

時代の流れや周辺環境の変化と共存しながら継承され続けている深い文化

民藝の器に共通している”安定感”安心感”がより判りやすく感じ取れる焼き物であると

カップを両手で包み込むように持ち、コローの理想のユートピアへ心を傾けています。

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