ヒューマン☆マニア

孤立と異質 フリードリヒ「孤独な木」

他と異なることは罪?

アイキャッチの画像は二年前の秋に鳥取城跡のお堀で一本の木を中心に撮影しました。

幾つもの光が入ってしまいボツになりましたが、個人的にはとても大好きな写真です。

周囲の木々はたくさんの緑を携えているのに、この木だけが殆どの緑が散ってしまっており枝だけになっています。

随分とみすぼらしい姿に映っていますが、私は周囲の木々とは一線を画する、この木だけが放つ美しさに魅せられてしまいました。

それは、石畳に映る影です。

幹から放たれた枝一本一本が網の目のように石畳に映りこみ、木と影が合わせ鏡のように一対になっていて本当に美しい。

しかし、緑をたくさん携えた木々の中にある枝だけの木は”変わったモノ”として異彩を放つ存在であることに間違いはないのです。

「なに?あの木・・・一本だけみすぼらしい・・・みっともない・・・」

人の悪意を妄想したら、こんな陰口が聞こえてきそうです。

そして、深すぎる愛が神秘的で冷酷と評された画家を思い出すのでした。

調和した孤独

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ「孤独な木」

フリードリヒはナポレオン戦争時代を生きたドイツの画家です。

当時スウェーデン領であったドイツ最北端のまちに生まれ育ち、子供の頃に湖でのアクシデントで自分を助けようとした弟が溺死するという悲しい経験から鬱病を患ったことがあります。

家族への愛、祖国ドイツへの思いが強く行き過ぎた愛国心や作品に政治的背景を取り入れることで批判され周囲の芸術家たちに冷静に距離を置かれることもありました。

広大な大地に一本の巨木が立っています。
落雷か何かあったのでしょうか。木の頭頂部は朽ち果てています。
大地に近い中心部の幹にはたくさんの緑を携えており、羊飼いがその木陰でや休憩しています。

孤独な木

画家は大地に力強く立っているこの巨木に”孤独”というタイトルを付けました。

周囲の木々のように身を寄せて茂みや林を作ることなく一本だけ立ち大地に根付き人と自然の営みに調和している様子が神々しくも感じ取れます。

一本だけ立っている巨木に対し”孤立”という言葉を使わなかった画家の真意に少しだけ寄り添ってみようと思いました。

私は”孤立”という状態に至る経緯の取っ掛かりに”異質”というもの存在が少なからず関係していると思っています。

大勢の中に一つだけ異なったモノが存在していたら、敲かれるか弾き出されるかが世の常ですよね。

人間も生物であり、群れの中に目立つものが居れば敵に狙われやすいという防御本能が働いてのことだと解釈すれば自然の摂理なのかもしれません。

しかし人間は他の生物と比べ桁外れな理性と知性というものを持ち合わせている生き物です。

異質なモノの存在も単に敲き出すという方法が最善ではないことを理解しています。

未知の微生物に世界中が翻弄される現代

異質なモノの存在を認め理解し冷静に対義することが、これから迎える新しい時代を活きる姿勢なのかと考えました。

自然やアートが無言で伝えてくれること

他と異なることに一切の罪が無いことを先人が残してくれたメッセージとして受け取ります。

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