調和した孤独
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ「孤独な木」
フリードリヒはナポレオン戦争時代を生きたドイツの画家です。
当時スウェーデン領であったドイツ最北端のまちに生まれ育ち、子供の頃に湖でのアクシデントで自分を助けようとした弟が溺死するという悲しい経験から鬱病を患ったことがあります。
家族への愛、祖国ドイツへの思いが強く行き過ぎた愛国心や作品に政治的背景を取り入れることで批判され周囲の芸術家たちに冷静に距離を置かれることもありました。
広大な大地に一本の巨木が立っています。
落雷か何かあったのでしょうか。木の頭頂部は朽ち果てています。
大地に近い中心部の幹にはたくさんの緑を携えており、羊飼いがその木陰でや休憩しています。
孤独な木
画家は大地に力強く立っているこの巨木に”孤独”というタイトルを付けました。
周囲の木々のように身を寄せて茂みや林を作ることなく一本だけ立ち大地に根付き人と自然の営みに調和している様子が神々しくも感じ取れます。
一本だけ立っている巨木に対し”孤立”という言葉を使わなかった画家の真意に少しだけ寄り添ってみようと思いました。
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