ヒューマン☆マニア

パンデミックと新時代 ブリューゲル「死の勝利」

新時代開化の背景に疫病あり

冒頭の写真は昨年の初夏に撮影した鳥取砂丘です。

誰もいない早朝の砂丘を撮るたびに心に浮かんでくるのは、映画「猿の惑星」のラストシーン

宇宙船のトラブルで主人公が不時着したのは猿が人間を支配する惑星でした。
様々な苦難を乗り越え現状を受け入れて、この星で知り合った女性と共に子孫を残し、新しい時代を創り上げる決意で馬を走らせる海岸沿いで主人公の目に飛び込んできたのは
胸の辺りまで砂で埋もれた”自由の女神像”
そう・・・・宇宙船で不時着したここは、宇宙のどこかにある「猿の惑星」ではなく、時空を超えて核戦争を起こした後の未来の地球だったのです。

誰もいない広大な鳥取砂丘に一人立つ。。。そんな非日常と景色の寛容さが私をSFファンタジーの世界へと誘ってくれるのだと思います。

今世界中が未知のウィルスと戦っている真っ只中。

過去の人口推移データーを見ると疫病による死者の数は、戦争による死者数を上回るという統計に心が震えます。

同時に人々の価値観や社会全体が変化した新時代開化の背景に、疫病蔓延があるのではないか・・・
そんな考えが頭をめぐります。

そしていつの時代も人類は同じような行動を繰り返していますね。

解りやすいのは14C世紀にヨーロッパでパンデミックを起こし、たくさんの方々が亡くなったペストです。

当時のヨーロッパは神の代弁者である教会が全てを支配する封建社会そのものでした。

疫病は神様が人類に下した罰であるとの教えが絶対で、神が悪い人間を疫病によって懲らしめたのだとの考えが当たり前に受け止められていました。

人々の中で「神様から与えられる大きな罰」から逃れられるように、自らの手を釘を打ったり、鞭で自分の身体をうち続けるなど、自分で自分を罰するエキセントリックな自傷行為が行われるようになりました。

事態を重く見た皇帝が、そのような行為をすることを公式に禁止し、行ったものは破門という厳しい措置をとったので終息したものの、人々の不安は陰謀論へと転じていきます。

実しやかに「ユダヤ人が井戸に毒を投げ入れたからこうなった!」という噂がヨーロッパ中を駆け巡り、当時から迫害されていたユダヤの人々を貶める大義名分の元、ユダヤ人迫害が横行するようになります。

疫病で次々と人が悲惨な死を迎える・・・
なのに教会は神に祈るばかりで何の手立てもできない・・・・
聖職者も「悪の証明」である疫病で亡くなっている・・・
その上、教会のトップである皇帝さえ疫病を恐れて別地に避難してしまう事態が発生・・・・
人々は疑念を持ちながらも直視を避けてきたことに思考を巡らすようになります。

教会の存在意義

貴族領主や教会から土地を借り高額な地代を治め農業を行う「荘園制」から、各々が開拓した土地で小作を行う農業へと移行していきました。

まさに封建制度の崩壊といっても過言ではありませんが、疫病が封建制度を崩壊させたと言うより、疫病により人々の価値観が変化していった先にあったもの・・・・
そんな風に解釈しています。

そして私は観るたびに憂鬱になりながらも心突き動かされる絵画へと思いを寄せていくのです。

目を背けたくなった場面は?

ピーター・ブリューゲル「死の勝利」

たくさんの人々が死に絶えており、どこのどの場面を見ても悲惨で絶望的な絵ですね。

この絵画はオランダ独立戦争の時代に描かれたのですが、戦争絵画ではありません。
これは当時蔓延していたペストで人々が亡くなっていく様子を描いた絵画です。

戦争では身分の低い大衆から死んでいくのが常です。。。
しかし、この絵画は皮肉なことに身分関係なく平等に悲惨な死が訪れています。

左下に皇帝の亡骸がありますが、近くにある金品を盗もうとしている輩の脚を掴み阻止しようとしている皇帝の死しても尚、権力や財力に縋りつく姿が何とも言えません。。。

海の難破船、丘に吊るされ見世物にされている人、崖から落とされようとしている人、頭蓋骨を乗せた馬車に轢かれる人、etc・・・・
各カテゴリーごとに分けられて悲惨な光景が描かれているこの絵画

どの場面に一番恐怖を感じましたか?

もしかしたら・・・・一番恐怖を感じた場面は各々が向き合わなくてはいけない深層心理なのかもしれません。

危害を与えている骸骨たちに色が無いことに対し、苦しんでいる人々は色鮮やかなことから、人にフォーカスがあてられているのは明確です。

苦しい・・・しかしその中で、どう生きていくかのかをブリューゲルに問われているような気がしてなりません。

ただ単に耐え忍んでさえばいれば明るい未来が訪れるというのは願望でありただの幻想

苦しみの中で何を受け入れ何を変えて行かなくてはいけないのか・・・そういうメッセージを込められている気もしています。

新時代!未来は人の英知にゆだねられている!

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