抑圧か解放か

これは信楽焼の陶器で出来た兵器です。
私はこんな辛く悲しい焼き物を見たことが無い。。。。
人々の日常生活を担う食器や置物から、人の命を奪うと同時に器自体も粉砕してしまう焼き物を制作しなければいけない現状や、そういうモノの制作だとしてもフォルムの美しさに手を抜かない職人さんの姿勢と心中を思うと言葉に詰まります。

オキュパイド・ジャパンとして日本の職人さんたちが手掛けた数多くの陶器磁器の作品が外国へと旅立って行きました。
今となっては稀少なモノとしてオークションに登場し、著名なコレクターも存在する品々となっています。
私もヤフーオークションでいくつか落札した陶器の中にオキュパイド・ジャパンの表記があり、少し胸が熱くなっています。
オキュパイド・ジャパンの製品は、どれも活き活きと美しい!

戦時中は西洋文化に触れるようなモノ・コトは厳しく罰せられていたはずです。
材料も資材も乏しかった中で作り手の方々は窮屈な思いをしていたと想像できます。
作った製品に「占領下」という文字が入ることが屈辱的だったに違いないと評する方もいらっしゃいます。
しかし
作り手の方々にとって培った技術を存分に発揮できる環境が整った中、手掛けた作品や製品に「占領下」という文字が入る入らないにどれだけの拘りがあったことでしょうか?
オキュパイド・ジャパン
今後このような表記をしなくてはいけないような時代の流れは絶対にあってはならないと思うと同時に
理不尽な抑圧からの解放でもあったのかもしれないとの複雑な思いが駆け巡ります。
ただ・・・良くも悪くも
自身の実力や技量だけではどうにもならない大きなパワーによって思わぬ方向に動かされるという現実があることは心の底に置いておかなくてはいけないことだと思いました。
時代や歴史を振り返り向き合うということは、アーティストとしての未来を見据えることに直結しているということも胸の奥に響いています。