用の美

ストイックな白肌

鳥取県鳥取市河原町西郷

ここは歴史が深く、磁器、陶器、ガラス、木工・・・とさまざまな工芸師さんが工房を構えるクリエイティブな山郷です。

いくつかの窯元を訪れる機会を頂き、白磁器を手掛ける「やなせ窯」にお邪魔し貴重なお話を聞かせて頂きました。

陶芸家の前田昭博さんは国指定重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝と称される方です。

造形性の強い作風でありながら見ていてホッと和める器たちは継承された伝統という揺るぎない土台からくる安心感なのだろうと自分なり解釈をしました。

時間が許すなら、ず~~~っと眺めていたい白肌の磁器。

しかし、若干の素朴ささえ伝わってきたこの白肌は、数ミリ単位のチリや埃の付着が色をくすませ、致命的な損傷を作品に与えるストイックな工程を経て誕生したものでした。

周囲の空気や光に気を使い育むように時間と工程を重ねて仕上がる作品たち。

この器が一層の魅力を放ったのは道具として用いられた時でした。

使って愛でて育むことで美しさが増している…

これは民藝を学んでいる最中である私の中にある「用の美」の解釈と同一にあります。

民藝とそうではないものとのカテゴリー分けがされるとしたら、この白磁器は外れてしまうのかもしれないけれど・・・

かしこまって鎮座している姿以上に花やお菓子が盛られている姿に魅力を感じたのは、間違いなく日々の中で使う道具としての美しさを兼ね備えているからだと思ったのでした。

ストイックな工程を重ね育んだ無垢な白肌が日常に溶け込む純粋さを際立たせているのだろうな~・・・

と考えながら作品を観ている頭の中で電卓叩いて懐を確認して…

私はこのストイックな白肌をいだくには早すぎる若輩者です。。

 

 

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